あるネット記事がありました。
「学校法人「産業能率大学総合研究所」(東京都世田谷区)が今年度入社の新入社員を対象に実施した調査で、旧来の年功序列型の人事制度を望む声が成果主義を上回った。」*1*2
そして、つぎのように締めくくられていました。
「年功序列への回帰を『意識の保守化』と見なす前に、若手が抱える将来不安をどう解消し、成長機会と安心を両立させるか。そこに、企業の若年層に対する人材戦略や人材育成のアップデートのヒントがあるのではないでしょうか」
この調査には企業のアップデートのヒントとして、「多様化への適応」「エンゲージメント向上」「コミュニケーションの再設計」といった具体的ポイントが示されていて、これらは受け入れられるのですが、私が気になったのは別の点で「意識の保守化」でした。
年功序列型の人事制度を望むことは保守化なのだろうか。80年も経たてば戦後を守ることが保守なのでしょうか。佐伯啓思の『自由と民主主義をもうやめる』にあったつぎの一節を思い出します。
「なんとも、妙な構図ができてしまったものです。もともとは「革新」や「進歩」を唱えていた「左翼」が、徹底して新しい動きに抵抗し、憲法にせよ、教育にせよ、基本的に現状維持を訴える。むしろ、「保守」の側が変革を唱える、というねじれた図式です。」
果たして、年功序列への回帰は保守化なのでしょうか?
*1 「新入社員は成果主義より年功序列に回帰? 調査開始から36年で初めて逆転 「意識の保守化」と見なす前に企業が取り組むべきことは」8/22(金) 7:31配信 AERA DEGITAL
*2 2025年度 新入社員の会社生活調査 PICKUP DATA vol.1(第36回) 産業能率大学 総合研究所