「タレントマネジメント」という考え方が浸透してきました。その定義や解説は様々ですが、「企業活動に必要な人材採用、人材開発、適材適所を実現する全体的な取り組み」といえます。
厚生労働省が発表した「平成30年版 労働経済の分析」によれば、タレントマネジメント(システム)の導入状況は、何らかの関心がある企業の割合が13.5%(2012年)から25.1%(2017年)に上昇し、関心が高まっていることがわかります。*1
タレントマネジメントはアメリカ発だそうですが、わが国の企業人事の分野では、かねてからトータル人事制度といった概念がありましたし、また伝統的に人材の内部登用は当然でした(というかそれしかありませんでした)からタレントマネジメントは受け入れやすい考え方です。
導入のポイントはどこにあるかを考えてみると、”導入目的”と”タレントとは?”にあると思います。
人事の仕組みは歴史的に導入目的が重視されてきました。タレントマネジメントという考え方も例外ではなく、この仕組みに乗りさえすれば成功するというわけではないことは肝に銘じておくべきでしょう。
また、そもそもタレントとは?が実は深い問題です。企業活動にとって、あるいは労働にとって未だ才能・能力について定義はないと思います。やはり、タレントマネジメント(システム)は何をマネジメントするかという目的を導入企業として良く検討しないと、ただの社員台帳の程度にしかならないわけです。また、「優秀な人材」に焦点を当てがちなわけですが、本当にそれでよいのか考えたいものです。戦略人事の下では優秀な人材を重視するのが合理的ですが、雇用という企業の社会的責任を見失ってはいけないと思います。
*1 コラム2-4図 我が国企業のタレントマネジメントの導入状況|平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)