ある報道番組で世代間の溝のことを討論しておりました*1。 世代間の溝の克服は今に始まったことではなくて古典的テーマであると思うのですが、新しい時代背景を踏まえて、出演していた方々から若者の挑戦を応援したり、動機づけについて語っておられました。出演者は若い世代が「新しいことをやりたい」と思っていること、変化の激しい時代において「納得、腹落ち」を望んでいること。特に、パーパス経営を引き合いに出して、若い世代は人生の目的を腹落ちさせたいと思っているのだといいます。いっぽうで年配のキャスター等からは、あえて古い世代からの見方が示され、若い世代がもどかしく思っているだろう古い世代の理屈にもそれなりの理由があるはずだ、はたして古い世代はどうすべきか?と問うと、それへの回答が「定年」を設けて(強制的に)辞めて頂いたら、といったご発言が。
2021年にある経営者が「45歳定年」という発言をして炎上しました*2。炎上の背景にはコロナ禍で雇用が不安定だったご時世も影響したのかもしれません。しかし、そもそも定年という仕組みは年功処遇とセットです。もし、実力・能力主義が理想的に構築できれば年齢は関係ないはずです(その人の実力・能力に応じて年齢に関係なく処遇され活躍できるから)。つまり理想的な実力・能力主義のもとでは「45歳定年」批判どころではないはずです。
さて、冒頭の報道番組に戻ります。若い世代の実力・能力を認めて活躍できる社会を作ることにもちろん異議はありませんが、そのためには古い世代の定年が必要という回答はやや違和感が。それは人間尊厳の否定や世代間の衝突につながる議論で、なんだかモヤモヤっとしたものを感じたのですが、どうなのだろうか。
*1『世代間の新たな溝とは 26歳市長と役所の論理 青学駅伝監督の掌握術』 BSフジLIVE プライムニュース 2023.11.24 放送
*2 サントリー新浪社長「45歳定年制」発言で炎上…「ちょっとまずかった」 讀賣新聞オンライン 2021/09/11 07:17 配信